弁護士コラム
【弁護士コラム】遺産・相続問題:争族を防ぐための遺産分割

こんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。
今日は相続についてのコラムです。
相続と掛けて「争族」と呼ばれることがあります。
離婚事件ほど、相手方から弁護士がターゲットにされて攻撃されることは少ないですが(過去に弁護士が殉職しているのは、大抵離婚事件です。)、相続も刑事事件まで発展することはないものの、当事者間の争いというのはかなりのものです。
遺言書の作成を被相続人がすることは、その争族を避ける上で重要なことですが、それ以外にも弁護士として経験してきた実践的なスキルとして重要なことがあるのでご紹介します。
紛争化してしまう4つのパターン
相続事件で紛争化してしまうケースは、代表的な4つのパターンに分かれます。
1)有効な遺言書がない、遺言書の作りが甘い
2)被相続人が亡くなったあとに、相続人の一人が強引に遺産分割を進めようとする
3)被相続人の財産管理を行っていた相続人が、財産管理や遺産の説明を拒む
4)被相続人の財産管理をしていた相続人に使い込みがある
1)は遺言書をきっちりと作ることで避けられますし、4)は紛争化するのは仕方がないのですが、意外に多いのが 2)と 3)です。
それまで円満だと思っていた相続人間で、紛争が生じ得るのが 2)と 3)なのです。
当然のことながら、相続や遺産の分割という手続きを経験することは、人生でそう何度もありません。
そのため、やり方を知らないがゆえに、あるいは身内だからということで、「説明しなくてもわかるだろう。母はこう言っていた。」といった認識で、他の兄弟姉妹に、きちんとした裏付け資料等を提示しなかったり、遺産分割案を提示して署名押印を強引に迫ってしまうというケースがあります。
他の相続人としても、最初は、これまでの親の面倒を見てくれていた経緯や、家族関係を考慮して、例えば長男等に多く相続させることに異論を唱えるつもりはないと考えていたにも関わらず、一方的な手続きの進め方をされてしまい、それに異議を唱えたところ、さらに不愉快な対応をされたなどの理由で、相続人間の関係が急速に悪化することがよくあります。
そのため、相続で重要なことは、
・被相続人の遺産の情報をきちんと開示し疑義が生じないようにすること
・必ず他の相続人の意見や希望を聴取すること
が何より重要です。
鎌倉幕府・北条泰時の逸話
鎌倉幕府があった、神奈川県の鎌倉に行くと、北条泰時の逸話に触れることがあります。
絶大な力を有していた父である執権北条義時が亡くなった際、北条泰時は他の兄弟たちの配分を多くし、自分はそのほとんどを相続しませんでした。
兄弟姉妹を平等に扱う近代的な法律さえ制定されていない「鎌倉時代」にです。
この相続が影響したかはもちろんわかりませんが、北条泰時の兄弟たちは最後まで泰時を支えたとのことです。
その後の時代の数多くの戦国武将たちが相続で大きな失敗をする中で、北条泰時は成功した方の事例かも知れません。
以 上
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