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弁護士コラム

企業法務と競業避止義務

企業法務と競業避止義務

みなさん、こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。
今日は、企業法務と競業避止義務についてです。


退職時に労働者等に対して、競業避止義務を課す企業は多いです。

「競業避止義務」というのは、労働者に対し、企業と競合する企業に就職したり自ら開業したりしないようにする義務を課すものです。

法律上は明文の根拠はなく、在職中は「労働契約」に、退職後は「信義則」にその根拠が求められています。

競業避止義務は、企業側の営業の利益を守ろうとするものである反面、労働者の職業選択の自由を害するものでもあるため、裁判等で有効性が問題となることがままあります。

裁判例の多くは、

競業の制限が合理的範囲を超え、退職労働者の職業選択の自由等を不当に拘束する場合には、その制限は公序良俗に反し無効となるとし、合理的な範囲の確定については、①競業制限の期間、場所的範囲、制限対象の職種の範囲、④代償の有無等を基準にしています。

また、使用者の利益、退職労働者の不利益、一般消費者の利益なども加味して検討する。

との判断枠組みを示しています。


実際に、競業避止義務が公序良俗に反して無効とされた事案について、ご紹介します。

東京地方裁判所平成7年10月16日判決です。

東京リーガルマインドは、司法試験の受験予備校で「レック」の名前で知られていました(余談・私も大昔、通っていました)。

その専任講師で監査役も務めていたI氏(同時に代表取締役を務めていたN氏も提訴されています)が、”伊藤塾”を開業したところ、東京リーガルマインド側が、従業員就業規則、役員就業規則及び個別の特約に基づき、営業等の差し止めを求めた仮処分命令の申立ての事案です。

「営業停止の仮処分」ですから、通ったら企業活動は出来なくなりますね・・。

どちらにとっても非常に大きな問題です。

結論から申しますと、裁判所は、同人に対する競業避止義務を”無効”と判断しました(なお、同時に申立てられた別の方については有効としています)。

まず、受験指導用の教材及び試験問題を作成するノウハウなどにアクセスできる立場にあったとは認めたものの、それはあくまで従業員としての地位に基づくもので、就業規則の変更に伴う競業避止義務の創設の効果は、既に監査役になり、役員就業規則が適用されている同人には及ばないと判断した上で、さらに役員就業規則による競業避止義務も、「監査役」の退職後に元監査役に対して申立人が主張するような競業避止義務を課す必要性が疎明されていないこと、禁止範囲に場所的制約がないこと、退職金が1000万円に過ぎず競業避止義務の対価としての金額でないことなどから、禁止期間が2年間という比較的短期間であることに鑑みても、公序良俗に反し、無効であると判示しました。

情報の蓄積、ビジネスの方法が高度化し、企業の営業秘密の範囲というのは年々広がりを見せています。

競業避止義務違反の有効、無効というのは、ご紹介した判断要素を見て頂ければわかりますが、まさに「事案による。」というのが実際のところです。

競業避止義務を課す際には、期間的制約、場所的制約、代償の問題など、自社の営業形態のことを良く知っている顧問弁護士に、一度ご相談されることをお勧めします。
 

以 上

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