弁護士コラム
【弁護士コラム】法教育の授業

相模原の弁護士の多湖です。
昨年12月18日に、相模原市の上溝高校で、法教育の授業を行いました。
「法教育」とは、弁護士が行っている市民の方や学生の方向けの法律の授業のことをいいます。
授業のテーマは「校則と人の権利」です。
授業の詳細な内容は紹介できませんので、校則に関して一般的なお話をします。
学校の校則
校則は、各学校の学校長が定める権利を持っているとされています。
ただ、どのような校則でも定めることが出来るわけではなく、自ずと「校則の必要性」とそれによって制約される「人の権利」との間で、限界というものがあります。
校則は、どのような場合でも許されるわけではなく、人の生命や身体を制約するときは、違法となることが多いです。
例えば、冬でも半袖で過ごすように定めるとか、生まれ持った頭髪の色を染髪させることは、違法であることが多いです。
他方で、オシャレをする権利は割と保護すべき優先順位が落ちるため、ある程度の禁止が有効です。
あとは、どのような学校を目指したいのかによって、どこまで許されるかというのが変わってきます。
公立より私立の方が、建学の理念に共感して入学者が集まる性格上、校則で縛れる範囲が広いです。
茶髪の禁止、ピアスの禁止、パーカーの禁止。
中学時代や高校時代は「どうしてこんなに校則は厳しくて自分たちは縛られているんだろう。」「もっと自由が欲しい。」と思うものです。
しかし、弁護士の仕事をして多くの会社の就業規則等を見るようになってから、校則についてよくよく考えてみたところ、“実は社会人の方が、守らないといけない規則が厳しい部分は多いかもしれない”という事実に気づきました。
染髪やピアス、ネイルは、接客業では禁止のところが多いです。
航空会社や警察官などを筆頭に、制服を指定され、決められた服装規定を守らないといけません。海外の軍など、坊主に近い髪型を求められる組織もあります。
個人情報の管理などが厳しい職場は、スマホも仕事中は禁止されるばかりか(私用はもともと禁止だと思いますが)、勤務先に預けないといけないところもあります。情報が賭け事に利用される職場では、内部の者がスマホを使うと懲戒免職される場合さえあります。
このように、実は社会人の方が厳しいルールに晒されることは多い部分もあります。
校則の存在意義の一つには、このような社会でのルールに、学生のうちから慣れておくという一つの練習としては非常に有益かもしれません。
授業とAI
最後に、最近よく聞かれる「授業とAI」についてです。
最近AIの台頭で、授業中にAIを使って答案を作成することを禁じている場合があります。何故、AIを使ってはいけないのかと思う学生さんもいらっしゃいます。
確かに、AIは非常に便利なのですが、思考力が完成していない者がこれを使うと、AIの使い方の技術が身に着くばかりで、ある程度答えが見つかってしまいます。そうすると、自分で考える機会が少なくなり、本やネットには答えがないことを考えたり、AIの回答が正しいのかを判断する思考力が身に着かなくなる恐れがあります。
しかし、この「思考力」というのはどの仕事をするにも必ず必要になります。
思考力がいらない仕事はないと思います。
言われたことしか出来ないという事態を避け、自分で工夫したり、もっとよいものを追い求める上で大事なものとなります。
そして、この思考力を身に着けさせることが目的の授業では、AIを禁止し、自分自身で考えさせることに意味があるため、禁止は合理的です。
他方で、今後の世界はAIをうまく活用して生活していくことになりますから、全面的な禁止ではなく、AIを活用しても良い時間を設け、その利用の技術を成績として正面から評価するというのが、一番バランスの取れた評価手法だと思われます。
以 上
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