弁護士コラム
専業主婦の年収と主婦休損の算定
相模原の弁護士の多湖です。
今日は、交通事故等の損害賠償において、「専業主婦や兼業主婦の年収がいくらとされているか」について解説します。
家事従事者とは
賠償実務において、主婦は「家事従事者」として取り扱われます。
家事従事者とは「性別、年齢を問わず、現に主婦的労務に従事する者」をいいます。
家事労働に従事していれば、男性でもあたり得ます。
ただ、家族と同居していない単身者は、自分の食事や洗濯をやっていても、家事従事者に当たりません。自分以外の家族のための家事であることが重要です。
離婚事件などを受任していると、夫から、「誰の金でメシを食えていると思ってるんだ。」などと心無いことを言われることがありますが、主婦の年収って賠償実務ではちゃんと存在しているのです。
家事従事者の年収は女性の平均賃金
結論からいえば、女性の平均賃金が家事従事者の収入とされています。
令和3年の平均賃金は385万9400円です。
ですから、賠償の実務においては、年収について主婦の方は385万9400円の職種の方と同等に扱われます。
私は、個人的には何故「女性」の平均賃金なのだろう、男女の平均賃金を採用すべきなのではないかと思っていますが、現在の賠償実務では女性の平均賃金が採用されることが多いです。
兼業主婦の場合
また、最近では完全な専業主婦の方は少なく、パートタイムなどをしている主婦の方も多いと思いますが、扶養の範囲内で働いている方はもちろん、実際の収入が上記の女性の平均賃金385万9400円(令和3年)に届かない場合は、専業主婦と同じ扱いになります。
したがって、兼業主婦で、かつ実際の収入が女性の平均賃金に届かない場合は、交通事故でパートタイムを何日休んだかではなく、家事を何日休んだかという話になります。
休業日数の算定
それでは主婦の方は、「休んだ日数」をどのように証明すればいいのでしょうか。
交通事故などで、会社員などは、会社が休業日数を記録しており、人事部や総務部などが「休業損害証明書」を発行してくれます。しかし、主婦の方にはその証明が出来ません。
そのため、入院日数や通院日数を手掛かりに、家事の休業日数を定める事例が多いです。
また、交通事故に遭った場合は、日記に、その日の天候や体調、休まざるを得なかった家事の内容を記載しておくと、立証の助けになってより良いかもしれません。
実際の算定
主婦休損の算定としては、主婦の年収÷365日(1年間)×休業日数=主婦休損額となります。
主婦休損は金額が大きくなることが大きく、数十万円から100万円に達することも少なくありません。保険会社の提示を鵜呑みにせずに、一度弁護士に見せていただくのが大事です。
以 上
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