弁護士コラム
【弁護士コラム】遺産・相続問題:相続手続きと不動産鑑定について

こんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。
今日は不動産鑑定についてのコラムです。
不動産鑑定とは
「不動産鑑定」というと、どのようなイメージがあるでしょうか?
不動産会社が行う鑑定?
弁護士が金額を出してくれる?…
一般の方で「不動産鑑定」を経験したことがある方は少ないです。
不動産鑑定は、「その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示すること」です。
目に見えない不動産の価格について、対象不動産に関する資料を収集、分析しつつ、種々の鑑定評価手法を駆使し、自然的、社会的、経済的及び行政的な要の影響を判断しながら、貨幣の金額を示す、その判断をいいます。
これは、国土交通省が定めている「不動産鑑定評価基準」という基準に基づき、「不動産鑑定士」という専門職が行い、それ以外の資格のものが「不動産鑑定」を行うことは出来ません。
不動産会社が行う「査定」などとは、根本的に違います。
不動産鑑定士は、令和7年1月1日時点で、8789人しかいないとされています(不動産鑑定士補除く)。
弁護士は、相続手続きでの不動産鑑定や、競売手続きでの調査の際に、不動産鑑定士と接することがあります。
裁判所での不動産鑑定
遺産分割調停等の裁判所の手続きにおいて、不動産会社の査定だけでは、お互いで不動産の評価額について合意が出来ず、不動産鑑定を行うことが多いです。
これは、不動産鑑定を経ないと、裁判官が不動産の価額を認定することが難しいためです。
一方で山林や田んぼなど、最初から不動産評価が難しそうな物件については、固定資産税評価額等が採用されることが多いです。
不動産鑑定は、双方の合意のもと、あるいは片方の申立てのもとに裁判所の決定で行われます。
「予納金」といって、不動産鑑定士の報酬分を予納しなければなりませんが、これがかなり高額になることがあります。
一般的な相続でも、100~200万円程度はかかると考えておいた方が無難です。現地調査等も必要になるため、それなりの時間を要します(数か月は必ず伸びます)。
そのため、不動産評価額に争いがあったとしても、その金額の差がそこまで大きくなければ、費用対効果の観点から、双方の協議で評価額を合意するということも大事です。
不動産鑑定士が不動産鑑定評価書を裁判所に提出後、申立人、相手方、双方の弁護士が不動産鑑定評価の妥当性について、それぞれの主張を記した書面を提出し、裁判所がそれらを踏まえて、不動産の評価額の決定及び遺産分割手続きを行います。
不動産の評価の難しさ
物や不動産に金額をつける作業は、非常に難しいです。
市況によっては、“不動産鑑定士が鑑定した金額の2倍で売却できた”という事例も珍しくはありません。
不動産鑑定士が鑑定する金額で最も多いのは「正常価格」というものですが、これは適正な価格という価値判断を織り込むので、過熱している市場では、保守的な金額になりやすいからです。
裁判所もこの金額を採用します。
そのため、実際には「もっと高く売れるのに。」という事案でも、認定結果が低く出るということはあります。
相続手続きにおいては、不動産評価が、権利に直結するかなり重要な論点となります。
そのため、不動産鑑定に精通する弁護士に、きちんと依頼をすることが必要です。
以 上
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