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弁護士コラム

顧問弁護士がどうして必要なのか? - 解雇権濫用法理

弁護士コラム:解雇権濫用法理

こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。

今日は「顧問弁護士がどうして必要なのか・・・解雇権濫用法理」についてです。


解雇権濫用法理とは

企業は多くの従業員の力を借りて、日々の事業活動を行っています。
個人事業主が法人成りしていて、一人で全ての事業を行っているような特別な会社を除いては、従業員なくして会社は成り立ちません。

しかし、事業を継続していく中では、従業員を解雇せざるを得ない状況も存します。


日本においては、この解雇について諸外国に比べて、かなり厳格な規制がされており、それが事業再編や、人材の移動などによる経済成長を阻害しているという批判はあるものの、現在までこの解雇権濫用法理は緩和されていません。

この解雇権濫用法理は、最高裁昭和50年4月25日付判決(日本食塩製造事件)で「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」と判示されたことで確立されました。


平成20年3月に施行された労働契約法16条において、条文上も明示されています。

解雇権濫用法理の厳しさ

それでは、どれくらい解雇権濫用法理は厳しいのでしょうか。

結論から言うと、一般感覚からして「この人は解雇されてもやむを得ないだろう。」と認識される程度では解雇できません。

逆に「絶対にこの人が解雇されないとおかしい。理不尽だ。」と10人が10人、思うレベルでないと難しいのです。

⑴ 「能力不足」「協調性の欠如」

一番難しい類型の解雇理由は、「能力不足」「協調性の欠如」です。

これらは、客観的な指標等で判断するのが難しく、裁判で立証が難しいことに加え、要件も非常にハードルが高いです。判例は「企業経営や運営に現に支障・損害を生じ又は重大な損害を生じる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至っていることを要する。」としていますし、全体の下位10%の成績であるということでは足りないとして、解雇を無効にしている判例があります。

企業側がどの程度適切に本人に指導をしてきたか、今後の能力向上の可能性なども厳密に審理されます。この類型で解雇するのは非常に難しいということが分かります。

そのため、解雇するのであれば、成績や評価はもちろんのこと、能力不足や協調性欠如を示す客観的証拠を残し、それに対する指導の結果をしっかりと証拠化しておくことが必要です。

⑵ 「勤怠不良」

次になかなか難しいのが「勤怠不良」です。

一般感覚からすれば、遅刻や欠勤を繰り返していれば解雇もやむを得ないと思われそうですが、裁判所はそうは考えていません。企業が労働者に対して何度も何度も繰り返し注意・指導をしたにもかかわらず、労働者が正当な理由なく勤怠不良を繰り返し、それによって業務への支障が生じ、労働者が反省の色も見せておらず、もはや解雇しか選択の余地がないというレベルでないといけないとされています。

単に欠勤や遅刻等を繰り返していただけで、企業側も指導をしていないとか、労働者側に介護等の理由があり、企業側にその説明もしっかりとしている場合には、解雇は困難であることが多いです。

そのため、しっかりと書面等で指導をし、欠勤理由等についても、証拠等を残しておく必要があります

⑶ 「私傷病」と「業務命令違反」

そして、適切に段取りを踏めば解雇が認められる可能性が高いのが、「私傷病」「業務命令違反」です。

「私傷病」については、”会社の業務に起因しない病気のこと”をいいますが、一定期間療養の機会を与え、復職する措置を取らなければなりません

例外的に復職の見込みが医学的に明らかなような場合には、求職措置がなくても解雇は可能ですが、そう判断するように至った医師の意見書等の証拠は取っておく必要があります。

「業務命令違反」については、まず業務命令が有効かつ適切である必要があります。
命令の内容が労働者にとって著しく不利益を与えるような場合や、命令そのものが合理的ではないなどの場合には、権利の濫用に当たるとして、無効になることがあります

そして、有効である場合も、どの程度の重大な業務命令にどの程度反復して違反したか、どのような理由で違反したか、それによってどのような支障が生じたか、それに対してどのような指導を行ったか等の事情を総合考慮して、解雇が有効であるか否かが判断されます。

そのため、業務命令違反をしたからと安易に解雇せず、その有効性や証拠化が十分であるかなどしっかりと分析、検討した上で行動を起こす必要があります


このように、労働者を解雇するだけでも非常に難しいのが日本の法律です。
多くの場合、解雇の有効性は裁判所で争われます。

それに備えて、しっかりと反論できるように日々証拠を残さないといけませんが、その際には顧問弁護士の役割が非常に大きくなってくるわけです。

                            

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