弁護士コラム
【弁護士コラム】遺産・相続問題:生前の遺産分割は無効!?

こんにちは。相模原の弁護士の多湖です。
今日は相続についてのコラムです。
前回のコラムで、「きちんと遺言を残していないと、ずっと面倒を見てきた方が大変なことになってしまう」というお話をさせて頂きました。
(被相続人の)生前の遺産分割協議は無効
遺言を書いてもらいたいけれども、「本人には言いにくい。」「相続といっても兄弟しかいないのだから、みんなが事前にOKしてくれていれば遺言じゃない形でもいいんじゃないか。」と考えて、親御さんの面倒を見始める際に、兄弟で合意書を作られる方がいます。
例えば、面倒を見始める際に、「遺産となり得る財産についての分け方」を被相続人である親御さんが亡くなる前に、兄弟間で合意し、それに従って特定の人物が面倒を見るという合意です。
これを法的には「(被相続人の)生前の遺産分割協議」といいます。
一般的に、被相続人が死亡する前に推定相続人間で行った遺産分割協議は “無効” と解されています(東京地方裁判所平成6年11月25日判決等)。
亡くなる前に、遺産分割は出来ない
将来、相続人になる人物で合意したのだからいいじゃないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、遺産分割は被相続人が亡くなって初めて行うものであり、亡くなる前に行うことは出来ないと解されているからです。
自分たちが分割するための話し合いをしたり、処分する権限がないものを自分たちの勝手で合意することは出来ません。遺産は、亡くなるまでは、あくまで被相続人の持ち物です。推定相続人の持ち物ではないのです。
ですので、そこに時間を割くことは、あまり有意義ではありません。
遺言書を書いてもらうこと
そのため、やはり相続において希望を叶えるためには、「遺言書」を書いてもらうほかないのです。
推定相続人間で希望があるのであればなおさら、被相続人の方としっかりと話し合い、遺言書を書いてもらうようにお願いする必要があります。
遺言の作成を先送りしたことで、双方望まぬ戦いを、4年も5年も行わなければならないことがあります。本当に苦しいと思います。
多くの争いは、きちんと準備をすれば、避けることが出来ます。
こういった合意の効力については、なかなか高校や大学等では教えてもらえないのですが、これを機に、きちんとした法的知識をつけていただければと思います。
以 上
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