
相模原の弁護士の多湖です。
業務の忙しさにかまけて,放置していたブログを再開します。
本日は横浜から霞が関まで行って,相模原へ戻りましたが,
横浜線お願いですから横浜まで15分で行ける特急を作ってください(懇願)。
テコンドーとは。
突然ですが,今日は「正当防衛とテコンドー」について解説します。
さて,みなさま「テコンドー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
オリンピック関係でニュースにたまに出ているとはいえ,空手や柔道は知っていてもテコンドーを知っている方はレアです。
カタカナで聞くと分かりませんが漢字で「跆拳道」とみると少し
分かりますでしょうか。
簡単に言うと,朝鮮半島を中心に発達した足技を主体とした武道(ないしスポーツ)のことをいいます。
テコンドーの面白さ
テコンドーには色々な流派がありますが,大きく分けると,オリンピックテコンドーで有名なWTF,より武道的色彩の強いITFがあります。
私がやっているのはITFから分かれたJTAという流派です。
技としては,後回し蹴りやカカト落とし,後横蹴りが多用されます。
最近(といっても一か月前),宗師範(流派の一番偉い方)から,「テコンドーと自分の仕事」というテーマで記事を書くように申しつけられていたので(すみません,まだ提出していません。),良く考えることがあったので今日はこんなネタにしました。
依頼者さんからも良く動機については聞かれます。
テコンドーの面白さは,何といっても蹴る動作がカッコ良くて美しいところでしょうか。私が師事している師範代は180度以上股が開くのでカカト落としがすごく美しいです。

正当防衛とは。
このままでは,テコンドーブログになってしまいますので,
そろそろ法律の話もさせて頂きます。
皆さん他人を叩いたり蹴ったりすることはありますか?
普通はないと思いますが,あったとしたらそれは傷害罪という犯罪行為になります。
職業柄,夫婦喧嘩で肋骨を折られたりする方をお見掛けしますが,他人に力を振るっては当然ですがダメです。
では,どんな場合も力を振るってはいけないのか。
目の前でナイフを持った人が家族を襲っていて,警察も間に合わない場合は?
皆さんならどうするでしょうか。
刑法36条1項では,
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
と規定しています。
つまり,自己または他人の権利を防衛するため,必要最小限にした行為は犯罪とならないのです。
しかし,「正当防衛」というのは落とし穴があります。
過剰防衛について。
それが過剰防衛です。
刑法36条は2項で
防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
と規定しています。
刑の減軽や免除ということですから,過剰防衛は正当防衛と異なり有罪です。つまり犯罪ということです。
刑事事件で正当防衛を主張する場合,大体,検察と裁判所に過剰防衛を取られます。
いざというときに冷静に戦える人なんてほとんどいませんから,
多くの場合,運よくやり返せても,手段や結果の両面でやりすぎてしまうわけです。
このように正当防衛はよっっっぽどの生命の危険があるケースでない限り,厳しい。武器などを使うとさらに厳しくなります。
逃げるが勝ち。
テコンドーに限りませんが,武道をやっている人で強い人ほど,「逃げるが勝ち。」といいます。
他人と争っても何もいいことありませんからね。
自転車の事故などを見てもらえば分かりますが,万一,人を傷つけてしまったときの賠償金は凄いです。
闘争行為は故意不法行為ですから,慰謝料も増額です。相手の過失で過失相殺が認められても,こちらの過失を取られれば,一定額の支払義務がかかります(喧嘩で裁判みたいなこともよく見ます)。
そして,故意に人の生命身体を傷つけた場合,自己破産をしても免責されない(一生かけて返さないといけない)。
治療費が・・。
慰謝料が・・。
逸失利益が・・。
テコンドーを続ける理由
そういうわけで,テコンドー(武道)で得た技術を日常生活で使うことなどまずないわけです。
それでも何故テコンドーを続けるのか。
やっぱり弁護士という仕事と関わりがありそうです。
健康のためならスポーツで良いわけです。
あ,ゴルフはやってますよ。
武道の中でテコンドーを選んだのは冒頭の通りですが,
武道をやる理由としては,危険と遭遇した時に,思考停止しないためでしょうか。
異常な状況下で自分や周りの危険を回避するための最善手を考え続ける。
人に襲われるのは誰だって怖いですからね。
表現の仕方は微妙ですが,普段から強い人に襲われていれば(対人稽古をしていれば),いざというときに冷静でいられる部分が少しは広がるのではないか(広がって欲しい)と思います。
刑事事件で悲惨な事件をよく目にします。
目の前で誰かが犠牲になるところを見るなんて一生に一度でも嫌ですからね(毎日夢に出て来そうです)。理不尽を回避するため。弁護士になったのと同じ動機ですかね。