弁護士コラム
【弁護士コラム】裁判の全面オンライン化について

こんにちは。
神奈川県相模原市の弁護士の多湖です。
今回は、令和8年5月21日から始まる「民事裁判のデジタル化」についてです。
🔗https://www.courts.go.jp/assets/dejitarukasekou2.pdf
これまで、訴訟の提起は、訴状を紙で印刷し、裁判所に郵送あるいは持参する形で訴訟提起を行う必要がありました。
これが令和8年5月21日から、専用のシステムへの利用者登録をする必要はあるものの、インターネットに接続する機器や環境があれば、訴状や準備書面の提出はオンラインで行え、各期日もWeb期日で参加が可能になり、裁判所から遠隔地に居住する方が、民事訴訟をより身近に利用することが出来るようになります。
弁護士会がこれまで、地域司法改革の問題として司法アクセスの問題を取り上げてきましたが、IT技術を使いこなすことが出来る方にとっては、裁判所が遠方である等の理由で、裁判を諦める必要がなくなり、訴訟のハードルが大幅に下がる可能性があります。
一方で、AI 等の技術が発展し、画像や動画が本物かどうかを見極めることが困難な時代になった今、本人と称して別の第三者が参加し判決を詐取する可能性や、自宅等で行う場合非公開とされている期日に第三者が関与可能なこと、偽造された証拠(オンラインでは原本の紙自体を見ません。)の見極めが困難となる可能性があります。
アメリカの裁判所などでは、Web訴訟のシステムがサイバー攻撃でダウンし、紙の訴訟に戻っているところもあります。
特に、証人の自宅でWeb尋問等を行う場合には、証人自身がパソコンを360度回して本人確認を行わせる運用が検討されているなど(パソコンの裏に人が隠れていたり、あとから部屋に入ってきてもわかりません)、カンニングペーパーを読むことが可能で、現在ではかなり疑問が残る運用の予定になっています。
また、AI 技術の発展も目覚ましいです。
訴訟代理人である弁護士が AI に証拠資料等を読み込ませると、守秘義務違反になりますが、ご本人には弁護士のような制約が必ずしもないため、もうすでに現在においても、AI に準備書面等を作成させて、毎回数十ページを提出し、弁護士を就けずに訴訟追行をされている当事者の方もいらっしゃるようです。
オンライン裁判と AI の訴訟追行があわさった場合、受任について弁護士会から客観証拠に基づく厳格な勝訴見込みを求められている弁護士と異なり、当事者の方にはそのような制約がないですから、今までは、弁護士に依頼することで、費用面等から訴訟提起自体を断念していた案件が、オンラインでの裁判手続きの負担軽減、AI の台頭による訴訟資料の作成などにより、容易に可能となる可能性があります。
そのため、今後、裁判所に対して提起される民事訴訟の件数は、飛躍的に伸びる可能性があります。
日本の裁判所でも、AI に当事者が提出した準備書面や証拠資料を要約させ、証拠整理などに生かす運用を試行しているそうです。これが出来れば判決まで書けることになりますが、AI 対 AI 、判断も AI の時代が来るのでしょうか。実務家の思考力が間違いなく落ちそうですね。
参考:
「民事裁判で生成 AI 活用」見極め、書面要約や証拠整理の補助…最高裁が来月から効果と弊害を検証
🔗https://www.yomiuri.co.jp/national/20251229-GYT1T00285/
司法にどのような未来が訪れるのか、これからしっかりと見定めていく必要がありそうです。
以 上
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