弁護士コラム
【弁護士コラム】AI による法律問題の調査、分析(リーガルリサーチ)の限界

こんにちは。
相模原の弁護士の多湖です。
今日は、最近、色々な業界でもてはやされているAIが、弁護士業務あるいは法律問題の解決にどれくらい使えるかという問題です。
学校の先生方にお話を聞いても、学校でも課題をAIで作成する方が増えているようですね。
最近、相談者の方や依頼者の方でも“AIがこんなことを言っているのですが、どうでしょうか”と尋ねてこられる方が増えています。
私も、AIは複数の有償サービスを利用していますが、普段接する学生の方や、他の業界の方の感想や感覚と結構ずれているため、原因について考えてみました。
AI は法律問題が苦手
結論からいうと、“AIと法律問題は相性が悪い”と思います。
現状はかなり精度が低く、間違っている知識が含まれることがかなり多いです(体感で5割くらい)。
何度「民事」と限定しても、刑事関係の法律を引いて民事のことを回答してしまうことさえあります(弁護士向け特化のサービスにおいてもです)。
弁護士が法律問題の調査、分析を行うことを「リーガルリサーチ」というのですが、
➀法令の調査、➁判例調査、➂結論を導くための創造的な思考の三つに分類すると、➀はそこそこ、➁は半分程度、➂はほとんどできない といった感想です。
➀と➁も結局、それが正しいか、判別がつかないため、根拠となる裏付け資料を探す作業をしています。
そうすると、結局自分で一から調べた方が早くて正確なことが多いです。
判例をばっちり答えてきても、そもそもその判例が全く別の趣旨の判例(前提を異にしていたり、射程が及ばない)であることは多いです。
特に、弁護士がこれらの調査を必要とする場合は、頭の中に答えがないからで、応用的な場合が多いです。そのため、そもそも目の前の論点、問題についてまだ世界で誰も考えたことがなかったり、あるいはほとんどの文献で見つけられないレベルの問題も多いのですが、こういう場合、AIに尋ねると間違った答えが返ってくるか、答えが返ってこない状況です。
やはり、答えがない分野で答えを導く行為は、AIにはまだなかなか難しいようです。
AI が得意な分野
一方で、私は弁護士が通常使わない、ありとあらゆる法令に接することが多いのですが、マイナーな法令に接する上で、基礎的な調査をするのには重宝しています。
また、基本的な契約書のチェック、各種合意書等の書式の探索など、定型的なものはある程度得意のようです。
やはり自分で考えることが重要
何故AIは、法律問題が苦手なのか考えました。
恐らく、「法律の世界が深くて広すぎ、単純な計算問題と異なり、一つの争点にたくさんの答えがある、あるいはいい加減な側面がある」、そういった法律の特徴が、AIの特性とマッチしていないのだと思います。
高校の授業等でも話をしていますが、AIが言っていることは割と間違っていますし、形式的な通り一辺倒のことしか話せないことが多いです。
特に専門的なことは苦手です。
作業効率を短縮化するためのツールとして、AIを利用することを目的とすることは良いと思いますが、そこに書いてあることが真実だと思わないこと、最終的には得たヒントを自分で考えて答えを出すこと、これが何より重要だと思います。
以 上
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