大地震から自分や家族、会社や職員を守る方法について、関東弁護士連合会の災害研修を受けたのでその感想。
相模原の弁護士の多湖です。
大阪や群馬、千葉で地震が相次いでいます。本当はもっと前に書く予定だったのですが、間に合いませんでした。
今日は、関東弁護士連合会が日頃から取り組んでいる、平時からの災害対策に関する話題です。
アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんの講演
あんどうりすさんは、阪神大震災の被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年頃から全国で講演活動をされている女性です。
毎年100回以上の講演をされているだけあって、非常に興味深いお話がたくさん聞けました。
私めもいつの間にか関東弁護士連合会の災害対策PT委員に任命され、広報誌に乗せる感想文の作成のお仕事を有難く頂戴したので・・、今日は少しそのお話の感想を書きたいと思います。
災害対策の極意。
地震や大雨、大雪、竜巻、色々な災害が世界にはあります。
共通して言えることは、まずは自分や家族の命を守らなければいけないということ。会社経営者であれば、従業員やお客様の命も守れるように最大限を尽くさなければいけません。
*7名の命が津波で失われた仙台高裁の平成30年4月27日判決(大川小学校控訴審判決)では、災害発生前の対応(日頃からの防災の取り組み)が注意義務違反の有無の主要争点となりました。
判決では、津波ハザードマップの予想浸水区域図において、予想浸水区域とされていない場合でも津波が来襲する危険がないことを意味するものではなく、危機管理マニュアルの見直し、点検の不備が指摘されています。
自治体のハザードマップ上、安全だから準備しないというのは注意義務違反ということになりそうです。
会社等の防災やBCPについてはまた、後日ブログを書き、本日は一般家庭の防災に限定します。
ちなみに企業の防災に関する注意義務については以下のブログ参照。
あんどうりすさんがおっしゃっていた、災害対策の極意を一つ上げるとすれば、「生き残るために自分の頭で考え続ける。」だと思います。
思考停止が何より良くない。
あんどうりすさんは、普段からどのような災害用品を用意しておくのか、いざ災害が発生した場合にどのように行動するか、どのような避難生活を送るか、どの局面においても、原理原則を理解し、自分の頭でしっかり考えることが必要だとおっしゃっています。
〇✖式の災害対策は絶対やめてくださいと何度もおっしゃっていました。
例えば、「地震が起きたら机の下に避難しろ。」と言われた子供は、校庭で被災した際に、わざわざ危険な教室の中へ戻ろうとするそうです。
*室内の落下物から身を守るために机の下に隠れるわけであって校庭のような広い場所からわざわざ建物内に入ることは帰って危険。
また、「ツナ缶は蝋燭代わりに出来ます。」と言うと、ツナ缶を一生懸命探し求め、油分のない水煮のツナ缶に火をつけようとする方もいるそうです。
*原理的には油分の含まれている缶詰ならどれでも代用できるはず。
災害時にマニュアル答案のような状況はほとんどないので、日頃から防災に関する物事の原則をしっかり理解し、勧められた物や、方法が取れないときでも、代替の物や方法を考え出すことが非常に大事だとアドバイスしています。
子どもと防災の話をする際にも、自分で何が危険か、それを避けるためにはどうしたら良いか、「~の防災用品を持っていなさい。」「地震の時は先生の言うことをよく聞きなさい。」「地震が起きたら災害伝言ダイヤルを使いなさい。」などではなく、「学校では机の下に隠れろと教わるのか。じゃあ、君はプールに入っているときに地震が来たらどうするんだい?」「携帯がなくて災害伝言ダイヤルが使えなかったら君はどうやって家族と連絡を取る?」などと、色々な事例について、ヒントを与えて考えさせる教育も必要かもしれません。
便利アプリ
いくつか便利アプリを教えてもらいました。
⑴ 星座アプリ 東西南北が分かる
*コンパスでもOK
⑵ LIFEアプリ 子供の位置がGPSで分かる
⑶ グーグルマップの高度計 津波や水害のため
⑷ お天気アプリ
地震発生時など特に雨雲には注意する必要があるため。
最低限通勤バッグに入れておく5点セット
とにかくペラペラの簡易トイレ3セットくらいは、通勤バッグに入れておくようにとのことでした。
水や食料は我慢できてもトイレは我慢できないとのこと。
確かにその通りです。
携帯電話がカバンにない人はいないでしょうが携帯電話。
あとは、少ない息で吹ける笛(中にヒョコヒョコ動く球がないもの*水にぬれると鳴らないから)とLEDライトです。
これらは閉じ込められた時等に自分の存在を外部に知らせり、避難する際に停電しているときに使うものですね。
*大地震の時は必ず停電しているそうです。
ライトは、避難する際に両手が使えるようにLEDライトは頭に装着できる形式がいいとのことでした。
行政の災害マニュアルでは未だに白熱電球の懐中電灯になっていますが、重いし、明るさもLEDの方が上なのでLEDにしましょうとおっしゃっています。
水や食料は確かにどこかで入手できそうですし、重いのは持ちづらいのでこれらの品物は通勤用カバンに入れておきたいですね。
さらに十徳ナイフ等も良いようですが、銃刀法違反になる可能性が高いとのこと。
*防災のためという理由は銃刀法違反においてお巡りさんには通用しません。本当に捕まります。被疑者の皆さんは大抵、護身用か防災用と言いますね。
刃先が短いものを買うしかないですね。
車の中にプチプチをたくさん張れば車でも避難生活が出来る
車はエンジン切ると本当に寒くなります。
自然界最強の断熱材はなんと空気だそうです。
冷たいものと自分の間に空気を挟めばいいとのこと。
逆に天敵は水(気化熱があるため濡れた服を着てると低体温症の危険あり)。
梱包材のプチプチ。あれをつぶさずに車の内側全面に張り付ければ、寒さがしのげるとのこと
↓
よーし、プチプチを段ボールで買おう。
*思考停止の最たる例です。
そもそも車が最適な避難生活の手段か考える必要がありそうです。
プチプチを床一面に引けば避難所の冷たい床も暖かくできる。
↓
よーし、避難所にプチプチを大量購入してもらおう。
*思考停止の最たる例です。
別にプチプチでなくてもいいわけです。
服装や周囲の環境も、空気を挟み水を避ける等、考えれば上手く断熱できそうです。
行政にも良く聞いて欲しい。
大阪の地震で大変痛ましい被害が発生しましたが、ブロック塀の危険性についてはあんどうりすさんもその直前の講演で何度も警鐘を鳴らしていました。
倒れてきたら大の大人でも動かすことは出来ない。
ブロック塀は本当に危ないと。
震度5程度で倒れてくるし、揺れ始めたら避けることは誰にも出来ない。
大人が責任を持って、ブロック塀についての対策をしていかなければならないと。
本当にその通りだと思います。
先日、あんどうりすさんと関東弁護士連合会の弁護士さん(災害対策の権威)が、家具の固定はネジ固定が基本だということで、東京都が保有する公の賃貸物件について、東京都に家具のねじ固定穴に関する原状回復義務の免除を申し入れたそうです。
しかし、東京都はこれを一蹴。
大した予算も掛からず出来ることなのだから、率先してやって欲しいと思います(ちなみに港区はすぐにやってくれたそうです)。
他にも重い荷物を軽く持つ方法や日用品の有効利用など
他にも重い荷物を軽く背負う方法や、レジ袋でオムツが作れる話、サラシやその他の日用品の有効活用、お洒落な防災グッズなどいろいろと盛りだくさんの内容でした。
ちなみに冒頭の写真は古武術を利用した人間を小さい力で動かす方法についての実践講義です。
是非一度あんどうりすさんのお話を皆様にも聞いて頂きたいと思います。
気さくな方ですので、講演を申し込めば皆さんの企業や自治体にも来てくれますよ!
- 平日(月~金)
- 初回相談30分無料その後、30分ごとに 5,500 円 (税込)
- 土・日・祝日
- 30分ごとに 5,500 円 (税込)
予約枠が空いている場合は、即日や夜間土日祝日での法律相談も可能です。
夜遅くまで相談を受け付けていますので、日中帯に都合がつかない方はご利用ください。